皆さん出社したときに朝の挨拶をしていますか?
職種・朝・夜と関係なく当たり前のように自然と交わされている挨拶。しかし最近は「まともに挨拶ができない人が多い」という意見をよく目にします。また「そもそも挨拶は必要なのか?」という反論も見受けられますよね。
世代と教育の違いで生まれた考えの違い。どちらが正しく、どちらが間違っているのか。36歳、中間管理職となった私が思う“現代の挨拶”について触れてみたいと思います。
(※今回の内容は、すべての職種・年齢に当てはまるものではなく、独断と偏見で答えているものです。様々なご意見があるかと思いますが、同じことで悩んでいる方、一人でも何かお役に立てればと思い書いています。)
目次
「おはようございます」の意味
「おはようございます」という言葉は歌舞伎からきているという説があります。
昔の歌舞伎の世界はとても忙しい毎日をおくっていました。人の出入りは激しく、人気役者にもなると今の人気アイドルと同じように目まぐるしい日々。歌舞伎を支える裏方は、練習のためにも早く楽屋入りしている役者に「お早いお着きで」という言葉を使って労っていたそうです。
この言葉が「おはようございます」という言葉に変化し、挨拶として使われるようになったといいます。
挨拶とは何か

皆さんは「そもそも挨拶は何のためにするのか?」と考えたことはあるでしょうか。
筆者も正直どう説明して良いのか分からないため調べてみたところ、“人と会ったとき取りかわす儀礼的な動作”と説明されていました。(儀礼的とは形式を整えて行う作法のこと)
簡単に説明すると、軽く挨拶を行う動作です。
そして挨拶をする理由は、相手に心を開き敵ではないことを表現するためとされています。挨拶を通して相手に自分の意思を示しているということですね。
そういえば、会社でも当たり前のようにしている挨拶も、表情の変化でその時の調子が伝わってきたりもしますね。いつもとは違う仕方・表情をしていると気になり調子をうかがうこともあります。
このように、挨拶には相手に対して警戒心を解くという意味があり、礼儀を示すために使われる作法と言えます。
知ってる間柄なのに毎日挨拶する必要はあるの?

挨拶が“敵意がないこと、礼儀を示すためにする”なら、会社やアルバイト先、学校など“既に知っている相手”に対して、毎日挨拶する必要はあるのか?という疑問が出てきますね。
質問サイトなどを見ると「挨拶に疑問を感じている人」「面倒だなぁと思って相談している人」は決して少なくありません。
確かに、既に知っている相手なら毎日毎日、自分に敵意がないことを示す必要はないですし、毎回礼儀を表現する必要もないでしょう。
しかし、だからといって挨拶をしなくてもいいのでしょうか?
表面的な部分だけで見るとそう感じてしまうと思いますが、挨拶を“毎日行う”というその習慣の裏にどのような意味があるのかを知ると、その考えは変わるかもしれません。
なぜ挨拶は毎日したほうが良いのか
挨拶を毎日行うメリットはたくさんあります。
常識となっているから
挨拶は日本だけではなく世界的に常識的な作法です。
子どもの頃、親や学校から当たり前のように教えられ、気がつけば自然にできていたという人が多いなか、なぜ大人になってマイナスのイメージを持ってしまうのか。筆者には正直理解できませんが、現代では常識と扱われている作法が当たり前にできないのはあまりよく思われないのではないでしょうか。
世間の常識があなたの常識にあてはまらないとしても、合わせておくほうが良いでしょう。万国共通の作法でもあり常識である挨拶ですから、無心にできると無駄なストレスも減るかもしれません。
脳の活性化、ストレス解消効果

人と会話をすることで脳内では神経伝達物質が分泌されます。その神経伝達物質の中にエンドルフィンというものがあり、気分を高めたりストレスを解消してくれたりする効果があるとされています。
また、脳も他の臓器同様、老化と共に衰えていく臓器です。刺激を与えないまま過ごすと、退化するばかりで働きも鈍くなってしまいます。挨拶をするだけで会話のきっかけにもなり、仕事では情報共有に繋がることもあるかもしれません。
相手にも自分にも挨拶はメリットがありますね。
数字で表せない評価に繋がる
2016年、日本経済団体連合会(経団連)が会員1339社に対して「新卒採用に関するアンケート調査」を行いました。これによると「企業が選考時に重視する要素」はコミュニケーション能力が断トツでトップだったのです。
この数字からは、企業の多くは表面上だけで分かる数字(売上成績)だけで評価をしていないということが分かります。ほとんどの企業が社会性を求めているとも言えますね。
社会性という言葉はいろいろな扱い方があるかと思いますが、いい例えを引用させてもらうと「その場の空気が読めること」。
人とのコミュニケーションは“仕事を円滑にする要素”と考えている会社なら、挨拶はできて当然と考えていいでしょう。
挨拶は会話のきっかけにもなり、円滑に仕事を進めることにも繋がります。表面的な数字だけではなく社会性の評価も得られる挨拶はやはり必要ではないでしょうか。
>>企業が採用基準にしているコミュニケーション能力の本当の意味とは?学生時代のものとは別物だった
できない理由について

どうしてもできない人の立場になってみることも大切ではないでしょうか。挨拶ができない理由には病的な要因、環境によるもの、教育の違いなどもあるようです。
教育の違い
20~30年ほど前、筆者が小学生の時代は知らない人でも挨拶をするよう教育されていましたが、未成年者を狙った犯罪が多くなるにつれ現在では知らない人には声をかけないよう指導されています。
幼少期の体験は大人になったときに大きく影響するとされています。大人になってなかなか挨拶ができない人は、このような教育も一つの要因になっているのかもしれません。
環境要因
スマホやパソコンがまだ今のように普及していない時代は、今よりも会話でコミュニケーションを取っていました。しかし、今では防犯の目的もあり、子どもでもスマホを手にしている時代です。
スマホ一台あれば離れた人とも会話でき、顔を合わさずとも意思を伝えることができますが、逆にそれがコミュニケーション能力の低下に繋がっていると言われています。
便利な時代になりましたが、側面的に見ると挨拶ができない人が増えているのには環境が要因となっていることも考えられます。
発達障害など脳機能障害
発達障害のなかには、人とコミュニケーションを取ったり、相手の気持ちを読んだりすることが苦手というケースもあります。また、自分も周囲も発達障害であることに気付かない場合もあるそうです。
見た目は普通、学力も問題なし、でもコミュニケーションが周囲とうまくいかない人は脳機能に障害がある可能性があります。なぜアノ人は挨拶ができないのか?と疑問を感じている人は、そういった病気が隠れていることも考えてあげることも大事なのかもしれません。
しかし、「あの人は発達障害かもしれない」などと周囲に相談することは禁物です。本人すら気づいてない場合、余計な問題を引き起こしてしまうかもしれません。仕事に支障がなければ自分の考え方を見直すようにしたほうがいいでしょう。
意図的に挨拶をしたくないと思っている人へ

挨拶ができるのにも関わらず、慣れや好き嫌いでしたくない人。色々なメリットを知っても「それでも挨拶はしたくない」という人もいるかと思います。
障害があれば別ですが、一応会社で管理職でもある筆者が「それでも挨拶をしたくない人」に言えるのは、嫌であればする必要はないということ。
いくら人から言われても、本人の意識が変わらない限り行動に変化は絶対と言っていいほど表れません。これは年齢関係なく沢山の人を見てきて個人的に導きだした答えですが、自分の中では間違いない事実と考えています。
ただし、年齢・経験による心境の変化があることも否定できないため、挨拶の大切さを伝え続けてあげることは大事だと思います。
会社での評価基準のなかに、挨拶を含めた“コミュニケーション能力”があるのなら、挨拶が出来ないことで低い評価を受けてしまうのは自分自身なのです。上司としては、挨拶のできない部下にそれを伝えて、それでも行動が変わらないなら、相手はそれなりの評価しか下されないことを分かっていると判断していいでしょう。
皮肉にも聞こえるかもしれませんが、最大限のことをして変わらない事実は事実と受け止めてしまい、あとはどう物事をうまく進めていくか考えたほうが、上司の立場からすれば効率的です。
まとめ
この記事を見て「挨拶ができない自分を変えたい」と思った方は、まず自分がどうしてできないのか、自分は挨拶ができるようになりたいと思っていることを、上司や同僚などに相談してみてはいかがでしょうか。
うまい解決法が見つかるかどうかは分かりませんが、相手に意思だけは伝わります。気持ちを伝えることで、相手はアナタのことを気にかけてくれるようになるかもしれません。
挨拶一つでもいろいろな考え方や価値観がありますが、現在の常識で考えれば挨拶をするメリットは大きいことは明白です。
できないことをできるように努力すること自体、自分自身にとってあらゆる面で良い影響があります。少しずつでもいいので出来るよう努力してみましょう。
逆にそれでもしたくないという方は、そのままで問題ありません。挨拶しないからということで別に仕事をさぼっているわけではないので気にする必要はないでしょう。他人に迷惑がかからなければ変えることはありません。
個人的なまとめになりますが、「挨拶できない人はダメなのか」というとそうではないと思います。しかし、何度も言うように常識から外れてしまっているかもしれないということは認識しておくべきです。
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